1 ゴールデンカムイ
完結済 巻数 : 31
あらすじ・ストーリー
『不死身の杉元』日露戦争での鬼神の如き武功から、そう謳われた兵士は、ある目的の為に大金を欲し、かつてゴールドラッシュに沸いた北海道へ足を踏み入れる。そこにはアイヌが隠した莫大な埋蔵金への手掛かりが!? 立ち塞がる圧倒的な大自然と凶悪な死刑囚。そして、アイヌの少女、エゾ狼との出逢い。『黄金を巡る生存競争』開幕ッ!!!!
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主人公やその周りのキャラクターが魅力的だけど、敵はそれより更に魅力的なキャラクターが大勢いる。
ストーリーはまあまあおもしろいし、ご飯が美味しそうだし、アイヌ文化とか言葉を知れる面白さもあるって感じ
明治末期の北海島を舞台にした作品です。 アイヌを殺害して金塊を奪ったとされ網走監獄に収監された男が、金塊の在処を残すため複数の囚人の身体に隠し場所を示す入れ墨を彫り脱獄させます。 入れ墨は一つでは場所がわからないようになっており、金塊の場所を特定するためには、囚人の入れ墨・刺青人皮を集める必要がある。 財宝の在処を巡る複数陣営の争いを縦軸に、アイヌと北海道の歴史、アイヌ文化や自然について語られる内容となっています。 主人公は元・日露戦争の陸軍兵「杉本佐一」。 彼は亡くなった友人の妻であり幼なじみの「梅子」の眼病の治療費のため、お金を必要としています。 そんな折、偶然に出会った網走監獄の脱走兵から金塊の話を聞き、戦いの渦に飛び込んでゆく展開です。 また、杉本は、冬眠明けのクマに襲われていたところ、アイヌの少女「アシㇼパ」に救われます。 殺害され金塊を奪われたアイヌは彼女の父であり、アシㇼパは父の仇を討ち金塊を取り戻すため、杉本と行動を共にします。 杉本の他に、鶴見中将率いる陸軍第七師団、蝦夷に独立国家を築くため金塊を狙う元新選組副長「土方歳三」陣営の、大きく3つの陣営が金塊を狙っていて、北海道中に散らばった入れ墨を持つ囚人を巡り競い合うという内容です。 奪い合いは刀や鉄砲で殺して奪うのが基本で、熊による獣害描写もあります。 集めるものがそもそも人の皮ということもあり、全体的にグロいシーンが多々あるので注意が必要ですね。 また、3つの陣営は競い合っているのですが、分裂したり、一時的に手を組むこともあり、登場人物も多いです。 2022年4月7日から28日までの全話公開で一気読みしてみましたが、状況がわからなくなることがあり、どちらかというと一気に読むには向かない作品だと思います。 コミックスでは加筆がされるそうなので、コミックスでも読み直してみようと思っています。 各陣営のキャラは非常に個性的で、危ない思想を持ったキャラが多いです。 またキャラクターは筋肉質な野郎の割合が圧倒的に多く、濃厚な野郎同士の絡みを楽しめる作品でもあります。 ラッコ鍋の場面などは特に有名ですね。 時にはいがみ合っていた男たちがラッコの熱にあてられ、情熱に任せて取り組みを行うというとんでもない名場面です。 また、ほとんど唯一のヒロインと言えるアシㇼパさんも、アイヌの食文化で美味とされる小動物の脳みそや目玉を杉本に食わせるシーンでドン引きする杉本を恐ろしい表情で見つめるなど、ヒロインというよりも顔芸の印象が強いです。 本作において、ロマンスと言われて思いつくのは野郎同士の絡みですね。 アイヌの文化についても詳しく読むことができます。 その内容は北海道アイヌ協会からも評価されていて、資料や文献の正確さは信頼できると思います。 作中、杉本たちは樺太にわたりますが、日本でもロシアでもない、アイヌという民族目線の樺太が書かれていて、その歴史とも相まって興味深く読めました。 ラストも、現在も続くアイヌ文化を残す活動につながっていくようなきれいな終わり方でした。 大団円ですが、最後は白石が持ってっちゃいましたね。
2 日露戦争物語
完結済 巻数 : 22
- 作者 : 江川達也
- 時期 : 2001年-2006年
- 雑誌 : ビッグコミックスピリッツ
- 出版 : 小学館
あらすじ・ストーリー
彼の兄の好古、友人の正岡子規、夏目漱石など後に「明治」という時代を担う多くの魅力的な人物も登場する。アジアや西欧諸国の情勢にも解説があり、その関係の中から日本の立場を理解できる。また、多くの戦争「美談」の裏側にも触れられている点も重要。
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日露戦争の名参謀として第一艦隊の旗艦・戦艦三笠に乗艦、ロシアのバルチック艦隊の迎撃作戦を展開し、日露戦争の我が方の勝利に大きく貢献した海軍軍人「秋山真之」を主役に吸えた歴史漫画。 秋山真之が主役というと「坂の上の雲」が想起されますが、本作はそのコミカライズなどではなく別作品です。 ストーリーは、松山城下町で暴れ回る秋山真之(淳五郎)6歳の頃から始まります。 いじめっ子たちを権謀術数で従え、松山一のガキ大将となった淳五郎と、後に「日本騎兵の父」と呼ばれる兄の秋山好古、親友の正岡昇(正岡子規)の幼少期から、二宮忠八、白川義則、南方熊楠などと出会い、大きな世界のうねりに飲まれず突き進んでゆく様が描かれています。 基本的に史実に基づきますが、特に序盤はエンターテイメント性の高い表現がされていて、楽しく学べるものとなっています。 秋山真之だけではなく同時代の歴史上の偉人達にもスポットがあたっていて、一時期秋山真之らを教えていた高橋是清や、正岡子規の学友だった夏目漱石などなどについて逸話や人物像が挿入される作りになっていて、とても楽しめます。 また、清国から独立し近代化を目指していた金玉均らのクーデター、その顛末も脇道に逸れる形で描かれるなど、同時期の世界の動きも描かれています。 作中に描かれる内容は並大抵の取材、知識で得られるものでは無い、大変情報量が多くて為になる内容だと思いました。 私見となりますが、右でも左でもなく、ただ史実をわかりやすく面白く伝えようという感じがしました。 この手の題材は思想が偏向しがちな感じがしますが、マンガ的表現を加えることで一歩下がった見方ができているので、歴史を学ぶために手に取るにもオススメします。 ただ、残念なのは終盤で、タイトルにあるの日露戦争に入る以前の、日清戦争が終戦する前までですっぱりと終わってしまいます。 日清戦争に入ってからは文字の比率が圧倒的に多く、背景は銃声の「パンパン」という文字で埋められています。 内容の濃さは変わらず、日本側の軍人の考え、動きや、軍関係者、特に明治天皇陛下の心中の描写まであり、凄まじい量の努力が裏にあったと感じられ、興味深く読みましたが、大衆向けのエンターテイメントではなく、興味がある人向けの難しい内容になっています。 歴史に興味がある人には凄く夢中になれると思います。 何せ日本だけではなく清国側の軍人達についても描かれていて、字が多いとはいえマンガ形式で読めるのだから、これは他にはない名著と思います。 それ故に途中終了してしまったのが残念。どんどん一般向けでなくなっていったので、仕方ないのかもしれないですが。 作者の江川達也氏は、氏に対する批判の声も多いですが、本作については描ききれていない点については残念と思うものの作品自体は素晴らしいので、多くの人に読んで欲しいと思います。
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