高橋しん作品。一冊で完結。
マーク・トゥエインのトムソーヤが原作とクレジットされてますが、ほとんど原型はないですね。
元ネタを知っていればにやりとする場面が多々ある程度のため、原作は読んだことがなくても楽しめますが、一応、知っておいたほうがおすすめです。
母の死の知らせを聞いて田舎に帰ってきた美大生(ほとんど行っていない)の女性、ハルと、親戚のおばさんの元に預けられている中学生の少年、タロが、ひょんなことから真夜中の墓地で殺人を目撃してしまう。
二人は、これを二人だけの秘密にして、血の署名をつけた宣誓書を交わす。
また、タロと同級生の女の子、ハナとの恋物語があったり、子どもたちだけで海をゴムボートで渡り海賊ごっこをしたり、時たまフラッシュバックする殺人の光景が頭をよぎりながらも、冒険の日々を送る。
舞台は現代日本ですが、大まかな筋、ラストもトムソーヤのそれに倣ったものになっていて、その置換が大変上手いと感じました。
トム・ソーヤがタロで、ハックルベリーがハル、ポジションです。
(トムがタロになったのは、一般的な男の子の名前を日本風にした結果かな)
ハルの行動が無責任すぎる(殺人を通報しない、親に無断で子供だけで無人島に寝泊まりしているのを傍観する など)点と、犯罪者側の描写が少なすぎてハルやタロの不安にリアリティーが感じられない点がマイナスですが、高橋しんらしく、意地悪な継母も優しい人で、嫌味ったらしい田舎の人々も人情に溢れた優しい人々に描かれており、心温まるいい作品だと思いました。
ちょっと厚い1冊ですが、おすすめです。
サンキュー
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