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マンガにも『旬』がある、と思う。『旬』すなわち、そ...

4.0

投稿 : 2017/12/09 23:22

状態 : いま読んでいる

マンガにも『旬』がある、と思う。『旬』すなわち、そのマンガを一番面白く読める時期。この『彼方のアストラ』についていえば、それはまさに「たった今」です。

宇宙進出が進んだ時代、課外活動の惑星キャンプに向かった9人の少年少女たち。ところが、正体不明の球体に襲われ、遠く離れた宇宙空間に投げ出されてしまいます。なんとか宇宙船・アストラ号に避難した彼らですが、待ち構えるのは星々を巡る苦難の旅路。なぜ彼らは漂流しなくてはならなかったのか?そして、彼らは無事に帰還できるのか?
少年ジャンプ連載『SKET DANCE』の作者による、SF版『十五少年漂流記』ともいうべき本作。未知の星々を探検するアドベンチャーと、宇宙漂流の理由を探るサスペンスを物語の縦糸に、個性的な仲間たちが織り成すドラマと軽妙なギャグを横糸に編まれた中編です。
特筆すべきはバランスの良さと構成力の高さ。すっきりとした画風や肩の力の抜けたギャグ、淡いラブコメ要素で読みやすさを確保しつつ、展開のスピード感で読者の心をガッチリ掴みます。ハードSFというよりはジャンプ的少年漫画色が強めで、老若男女がとっつきやすい一方、映画『インターステラー』を思わせる過酷な宇宙の描写には思わず手に汗を握らされたりも。
ここまで読んで、「手垢のついた宇宙漂流ものを優等生的に描いただけなんでしょ」なんて斜に構えちゃった、めんどくせーマンガ読みのあなた。そんなあなたにも、とりあえず手に取ってみてほしい。どうせ今んとこ4巻しか出てないし、よゆーよゆー。読んじまったが最後、作者のストーリーテラーとしてのしたたかさに下をまくことになるぜ!きっとな!たぶんな!そうなってくれればいいな!覚えとけよコノヤロー!

冒頭で私、今が旬って言いましたね。このレビュー投稿時点で既刊は4巻。ほんの少しネタバレになるけど、この4巻で物語に一つの区切りがつきます。これまでの丁寧な描写から、作者が過不足なく、非常にクレバーに物語を編んでいることが実感できる。そして、掲載サイト『ジャンプ+』上でつい先日、今月(2017年12月)末の完結が発表されました。彼らの旅がどのような素晴らしい完結を迎えるのか、(そうはいっても不安になりながら)楽しみにしています。私と同じような読者が、少しでも増えることを祈りつつ。

(最終巻が2月上旬発売!)

※このレビューがネタバレしてると思ったら...?

サンキュー

4

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