ファンタジー物の主人公には偽善者っぽい奴が多いが、本作品は「本物の善人」である独身のおっさんを主人公にした話。

冒険者となって20年間毎日薬草ばかり採取して荒事には一切関わらず、神への感謝を忘れない主人公がある日見つけたのは死人を生き返らせる力を持つ超レアな「蘇生の実」。これを売って億万長者への道が開けるかと思いきや、彼はそれを困っている少女に銀貨3枚で売るという行動を取る。
ちなみに譲り受けた少女はその国の王女で、生き返らせたのが聖女様という関係から、彼女らが所属するSランクパーティから是非ともお礼をしたい・仲間に招きたいという流れになる。※もちろん彼はお断りするが…

その後も善行を続ける主人公の周りには神の加護によるラッキーが続き、最終的に勇者を超える「善者」という立場になって人々を救う話。ちなみにエロ展開やラッキースケベは無し。

絵はかなり綺麗でデッサン力もかなりあるのだが、ストーリーというかシナリオが良くない。

まず、前述の王女・聖女が所属しているパーティがうざい。主人公に感謝したいとかパーティを組みたいとか下心があるのはいいが、そのために起きるドタバタイベントがマジなのかギャグなのか区別がつかない。また当人たちも腹黒なのかわがままなのか天然なのか性格付けがはっきり出来ていないのもダメ。
原作者は色々盛り込みたかったのかもしれないが、基本的な筋が通っていないので読んでいて疲れる。

あと、基本的に主人公の善行がすべてを解決するという流れなので、ある意味王道とも言えるストーリーだがわざとらしくクサイ芝居が多いのがげんなりする。