タイトル詐欺&単行本表紙詐欺なダークファンタジー作品。

神のお告げにより、魔王討伐の勇者パーティの一員に「英雄」として加わることになったユニークスキルを持つ少女が主人公。

彼女の能力は「反転」。勘のいいガキじゃなくてもおわかり頂けると思うが、魔法などの効果を逆転出来る力であり、『役立たずスキルに人生を注ぎ込み25年、今さら最強の冒険譚』(2019年)のヒロインでお馴染みのスキルだ。但し本作品中では、本人を含めて勇者パーティのメンバーの誰も「反転」の使い道が分からないって、想像力欠けているんじゃないの？

役立たずとみなされた彼女は勇者パーティの1人(=『村人ですが何か？』の賢者みたいな嫌な奴)から「お前ごときが魔王に勝てると思うな」と言われたのだが、そもそもその嫌な奴だって単なる従者にすぎないから、お前だって魔王に勝てる訳ないじゃん。勇者でもないのに偉そうなこと言うなよ。

で、追放された彼女は奴隷に落とされた後に偶然「呪いの剣」を手にして、ようやくスキル「反転」の意味が分かり脱獄する。その際同じ牢屋にいた包帯ぐるぐるの少女(=分かりやすくいうと綾波レイ)も助け出して主従関係になるのだが、それが百合っぽく見えるのが単行本表紙詐欺の所以。

その包帯少女にメイド服を着せて一緒に王都で暮らすことになったが、世間からの嫌がらせの連続でとても「気ままに暮らしたい」とはなっていない。これがタイトル詐欺の所以。

作者によると本作品は百合系ダークファンタジーらしいのだが、いずれにしても中途半端な内容だ。但し、画力はありキャラクターは綺麗なので、今後ストーリー次第では化ける可能性がある。