パワハラ上司から罵倒され続ける日常をなんとかしようと「パワハラ撲滅セミナー」に参加した社会人2年生の青年が主人公。
ところがそのセミナー、パワハラを無くすことを目的にしておらず代わりに売りつけられたのが怪しげなメガネ。それはなんと「おっさんが美少女に見える」というVRメガネで、上司がどストライクな美少女に見えてしまうという優れもの。

見た目が変わっただけでいつものパワハラ口調は変わらないのに、何故か主人公のMな性格に合ってしまいこれはこれでいいものだとなる展開へ。また、今までだったら嫌だったはずの上司と一緒にサウナで裸の付き合い的な話になっても、これもいいものだとなる話。

昔から「服が透けて見える魔法のメガネ」というのはマンガでよくあるネタだが、美少女に見えるだけでこんなにストーリーの幅が広がるのかと感心した。
しかし、本作品が素晴らしいのはそれだけではない。

パワハラ上司と同様に「社内のおっさん達」も全員美少女に見えてしまうのだが、その中に「会社のお荷物的なおっさん」が薄幸美少女(第3巻表紙の娘)に見えるというエピソードがある。
おそらく現実世界では、ベテランだが仕事がイマイチなおっさんで誰からも相手にされそうにないのに、これが見た目が薄幸美少女に変わるだけで「なんとか助けてやらなくてはならない」と意識が全く変わるんだよね。で、そういう窓際族のおっさんに寄り添うことで普通だったらありえないハートウォーミングな展開になるとか意外性がありすぎだ。

一番のポイントはこの怪しいVRメガネを手にした主人公が、最終的にこのVRメガネをどうするか？これが素晴らしい結論でなるほどと唸った。