1dfHrVGoXK9Xa3c6Od97rnq4Zsnk8CYN

 文字というもの(=文化)が好きな人に是非。 ...

4.5

投稿 : 2015/12/08 17:09

状態 : 読み終わった

 文字というもの(=文化)が好きな人に是非。

 文字はその国の文化であり、文化は民族の存在を確立するものという観点を持てる人にはとても面白い漫画だと思います。
 私自身、主人公ユルールに非常に感情移入してしまいました。文字も文化も大好きなので、共感できるのですね。また、ケルトがヨーロッパに侵略された歴史を少しですが齧ったこともあるので、国土だけでなく文化を侵略されるという事がどれだけ恐ろしいものかを多少なりとも理解出来る気がします。なのでキャラクター達が戦争で命のやりとりをする以上に、ユルールの守る玉音同(西夏文字)が無事に残っていけるかどうかに一喜一憂し、先を楽しみに読んでいます。
 主人公のユルールとシュトヘルを繋いだのも文字であり、大ボスである大ハンが狙っているのも最終的には玉音同。お話の結末はキャラクターの生死ではなく、文字の生死なのでしょう。
 
 とはいえキャラクターも各々の価値観を持ち生き生きとして魅力的です。また、重い世界観にそぐわない程度に個性的で、非常に人間的で穏やかなキャラもいればキレてるキャラもちらほらと。
 縦軸は上記の通り西夏文字の逃走劇ですが、最も大きな横軸としてユルールとシュトヘルの絆があります。2人の関係性の進展やそれに絡んでくる現代人スドー、ハラバルや大ハン、ヴェロニカ等を始めとする様々なキャラクターのストーリーは、縦軸の部分にあまり興味の無い人でも十分に楽しめる部分ではないかと思います。
 
 内容が内容なので人死には多く、内容が民族紛争という事もあり、死に方も直接的に描かれていることが多いので、絵自体はグロいという程ではありませんが、戦争描写が続くとなかなか鬱な気分になります(そんな中で仲の良いキャラクター同士の掛け合いは和やかであり、ほっとさせてくれるのですが)。
絵はとても上手く、キャラの表情、構図、アクション等素晴らしいです。というかこういう内容としてはかなりアクションを大事にした作風で、エンターテイメントとしても十分だと思います。
 
 個人的にとても気に入っている漫画です。興味のある方にはぜひ呼んでほしいと思います。

サンキュー

0

このレビューは参考になりましたか?
『フォロー』ボタンを押すと、この人が新たにレビューを書いた時に、アナタのマイページに通知され、見逃す心配がなくなります。 マンガの趣味が合いそう、他のレビューも読みたいと思ったら、とりあえずフォローしてみましょう。

シュトヘルの感想/評価はユーザーの主観的なご意見・ご感想です。利用規約を参考にあくまでも一つの参考としてご活用ください。
シュトヘルの感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたらこちらのフォームよりお問い合わせください。

まちるだ(偽)さんが他の漫画に書いている感想/評価