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圧倒的グロ。しかも精神的なやつ。 なぜか日々...

4.5

投稿 : 2018/03/03 22:28

状態 : 読み終わった

圧倒的グロ。しかも精神的なやつ。

なぜか日々、小学校にエイリアンが出現する時代。エイリアン対策係に選ばれ、駆除を任された3人の少女の日常は、緩やかに浸食されていく。ほんわかな絵柄からかけ離れたハードさを誇る、侵略SF&暗黒ジュブナイルの超怪作。

個人的な感触として、読後に残るのは突き刺さるような不快感と重い疲労です。
主人公・ゆりはすごく泣き虫なんだけど、その嗚咽がめちゃくちゃ心に突き刺さる。周囲の無関心・無責任とか、対峙するエイリアンへの生理的嫌悪とか、自分のセカイが変質していく根源的恐怖とか、「そら泣くわ」っていうキツさ。人間とは異質な論理を、平然と無垢な少女に担わせる醜悪さも見え隠れし、完全に精神的ホラーですありがとうございました。
しかもそれをロリ絵でやるし。物理的グロ・リョナ描写も完備だし。これ親しい人に勧めたらドン引きのうえ縁切られる図しか想像できない。

ただ、悔しいことに、一度読み始めるとページを繰る手が止まらない。
日常への異物の差しはさみ方が上手いのかな。小学生の幼い日常に、エイリアンが当たり前のように存在する違和感は癖になる。
デザインセンスも抜群だと思います。エイリアンの造形はどれも絶妙に気持ち悪いのに、ドリルが宙を這うバトル描写はやたらとカッコいい。アニメOVA版もクオリティが高くオススメ(但し映像化されたのは原作途中まで)。

何より、物語を貫く「共生」というテーマの描き方が壮絶。
異生物との共生といえば、名作「寄生獣」を想起させる出発点です。寄生獣との対比の中で、あくまで「人間とは何か」を考えた「寄生獣」。
それに対し、エイリアン9の中心には、人間はもはや存在しません。互いに受け入れ合って生きていくとか、キレイ事言える段階じゃない。決定的に異質な他者と共に生きるとは、侵略され、失ってゆくこと。共生を強いられ、心も体も不可逆に変質してゆくけど、世界は変わらないし終わってもくれない。そんな絶望の中で、幼い自我は、異質な他者とどんな関係性を築けるのか。
結局、彼女たちは一つの精神的紐帯に縋るしかないわけですが、あまりにも脆いその関係性は、それゆえに凄絶な美しさを放ちます。本当に悪趣味な作品なんだけど、それでも、一つの物語の真摯な結末として、超大質量で心をぶん殴られた気がしました。この先を知るのが怖くて、未だに続編読めてないんだよな。

改めて、オススメはできない。ただのロリグロって一蹴されても、何も文句言えない。でも、セカイ系の時代に咲いたあだ花として、また「裏寄生獣」「ロリデビルマン」として、風化させるのはもったいないかも、とは思う。
分厚すぎて鈍器としての使用にも耐える完全版『エイリアン9コンプリート』もあるよ!(ダイレクトマーケティング)

※このレビューがネタバレしてると思ったら...?

サンキュー

4

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