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個人的に、こういうオチの付け方に弱い。 読了し一...

4.0

投稿 : 2018/01/22 21:16

状態 : 読み終わった

個人的に、こういうオチの付け方に弱い。
読了し一息つく。
読んでいる最中は曖昧だった現実とファンタジーの境界が、くっきりと立ち現れる。
それでもなお、いやそれゆえに、両者に通底し、今に受け継がれている価値が、ストンと心に落ちてくる。
歴史フィクションの醍醐味を味わえる全8巻だと思います。

舞台は中世・アルプス山脈。
オーストリア・ハプスブルク家は、交易路の権益を狙い、アルプスへと支配の魔手を延ばしていた。
自由と独立を守るため、アルプスの民は「盟約者団」を結成し立ち上がる。
一方ハプスブルク家は、交通の要衝ザンクト・ゴットハルト峠に堅固な関所「狼の口(ヴォルフスムント)」を設け、そして残虐非道な代官・ヴォルフラムを派遣した…。
希望と失意、憤怒と冷笑が拮抗する、残酷で重厚な歴史フィクション。

一言で紹介するなら、「人民の『死』一つ一つが主人公なマンガ」でしょうか。
代官ヴォルフラムの悪辣さがとにかく強烈。
盟約者団の前に立ちふさがり、死体の山を築き上げていきます。
勇士も策士も美女ももれなく吊るされるため、絵面が痛い。
果たして盟約者団は関所を攻略できるのか。
積みあがる死の意味を読者が知るのは、物語の結末において。
中世という過酷な山行の果てにたどり着いた頂きからは、現代の我々まで見通す眺望が開けているはず。
アルプスだけに()
一見露悪趣味にすら取れるヴォルフラムの残虐さに、「いつか絶対ケツにデカいのぶち込んでやるぜ!」の反骨心でなんとか耐えて、ぜひ一気に読み通して頂けたらと。

※このレビューがネタバレしてると思ったら...?

サンキュー

3

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