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鬱作品の良し悪しは暗さ具合とか理不尽さの強弱で判断...

5.0

投稿 : 2019/08/22 17:12

状態 : 読み終わった

鬱作品の良し悪しは暗さ具合とか理不尽さの強弱で判断は出来ません。
それこそ人間ドラマ。汚い部分も綺麗な部分も、強い部分も弱い部分も、全てが攪拌されてごちゃごちゃで何だかよく分からない正体不明が浮き出てくるのが良いのです。
鬱作品は、暗いだけでは成立しないのです。その中で何を描くのか、結局は他の作品と大差ありません。内側の露出部の多少が違いでしょうか。
それも、私個人の取り方ではありますが。

・感想

生きるということ。
一言で表すなら、この作品はそういうことなのでしょう。

ロボットの謎等、SFの設定は全くメインではありません。
作中に出てくる専門知識(軍事、物理設定等)は最悪読み飛ばしてもなんら問題はありません。作者の教養には驚かされましたが。

今作はあくまでも、死生観の物語。言い換えるのならセカイ系(ちょっと違うかも?)です。
死を宣告されたからこそ生きることから逃げられなくなった者達の物語。

主人公の子供達だけでなく、周りの大人達も蚊帳の外ではありません。皆が真摯に向き合って、心情を吐露しています。

答えがないからこそ難しいし、だから一人一人に重みがあって、何と表現すべきなのか分からない感情の奔流に飲み込まれました。

言うまでもないことですが、主人公の視点からの悪人は、悪人視点からすると己です。
悪と正義に垣根はありません。あるとすればそれは視点の違いだけです。
その人物にも脳があり意思があるのだから。
悪を悪として描くのは簡単ですし、物語はそうでなければ盛り上がりません。しかし今作は、そこにも切り込んで描かれていました。
悪を分かりやすく悪だと、皆が望む仮想敵に仕立て上げるのではなく、本当に人間として描写されていました。

狭量な視点で浅瀬で遊んでしまいがちなテーマをここまでしっかりと描き上げるなんて、考え方を分岐させられる人にしか作れないでしょう。
驚嘆の一言です。

※このレビューがネタバレしてると思ったら...?

サンキュー

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