両親を亡くした女子高生の本田 透 と、「 十二支と猫 」の物の怪憑きを代々受け継ぐ草摩一族の物語。
小中学生対象作品。一見、だらだらしたほのぼのコメディタイプのファンタジーかと思いきや、十二支それぞれの暗い過去や、草摩一族の当主、慊人(あきと)が十二支に対するバイオレンス精神的苦痛を与える残酷なエピソードも登場する。
初頭で透は由希と恋愛発展させていく展開かと軽視していただけに、夾との展開は悲恋を匂わせ良い裏切られ方だったが、透が夾に異性として惹かれていく描写は少なく(夾の" 猫憑き の呪い"が明らかになってからの描写しかない)分かりにくい。
第1話から「十二支の昔話に出てくる猫」に思い入れがあると一応の伏線的なものがあるが、恋愛展開としての有効性は複雑。
最終的に「十二支全員がカップリング 」されるが、嫌悪感なく微笑ましく受け止められるのは、この作品ならでは。
絵が得意な作家さんではないようで、全体的に奥行きが感じられない。
表情バリエーションも少なく、キャラクターの動かし方や独特なコマ割で変化をつけている。
綾女(由希の兄)の登場するコミカルなシーンはテンポもよく、作者も楽しんで描かれただろうことがよく伝わる。
セリフの吹き出しや、コマを詰め込み過ぎて場面展開に違和感があったり、読みにくく落ち着かないページもあり、それが、賑やかなコメディ感や混沌とした草摩一族の印象とマッチしているとも言えなくはない。
物語には、作品それぞれに幾つかの印象的なシーンがあり、そのシーンを思い出す時、「象徴的なセリフや絵」が頭に浮かぶ。この作品は長編漫画であり、印象的なシーンがあるのにも関わらず、余韻に浸れるような「切り取られた一瞬」が、心に残りにくいことを残念に思う。
サンキュー
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