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『ゴルゴ13』や、リイド社の元会社である"さいとう...

4.5

投稿 : 2021/09/25 01:40

状態 : 読み終わった

『ゴルゴ13』や、リイド社の元会社である"さいとう・プロダクション"の設立で有名なさいとう・たかを氏の代表作の一つ。
友人との洞窟探検中、突如大地震が発生し、今いる場所が外界から孤立した島のようになってしまった少年「鈴木サトル」を主人公にしたサバイバルマンガで、生きて両親の元に帰ることを目的とし、生き延びるための知識を経験を元に吸収して逞しくなっていく少年の姿が描かれています。

描かれたのは1976年と、かなり古い作品となります。
そのため、時代的に現在出回っているデジタル製品の殆どは影も形もなく、書かれている情報も古いため、今読むと違和感を感じるかと思ったのですが、意外にそういう感じはなかったです。
生活に根付く知恵や習慣の恩恵が主人公を助ける場面が多く、そういった知識は現在人には馴染みが薄れてしまっているところがあるので、古い知識が下敷きになっていますがむしろ新しさを感じる作品でした。
また、作中では早々に獲物を狩り、朝露で喉を潤す、原始の生活を始めるので、作品から現代とのジェネレーションギャップを感じることはなかったです。
もし今、地球崩壊規模の大地震が発生してしまったとして、やはり同じように狩猟と農耕で糊口をしのぐことになるのだろうなということを思いました。

絵は劇画調で線が太く、時代を感じさせますが、一方で非常に読みやすいです。
喜びの表現、怒りの表現、悲しみの表現が非常にわかりやすく、キャラクターの書き分けもうまいです。
正直、現代で展開が妙に難解になっているマンガの作者はこの頃のマンガを一度参考にして欲しいと思いました。
シンプルでかつテンポが良く、毎話先が気になり、古い作品ですが今読んでも問題なく楽しめました。
古い絵柄が受け付けないという方意外であれば、最初軽く読んでみると気づけば全部読んでいたと思うくらいに夢中になれる名作と思います。

当初サトルの探検していた洞窟周辺のみの災害かと思いきや、もっと大規模な災害であったという全貌が徐々に明らかになります。
世界滅亡に近しい状況なのですが、サトルは何度も死の淵に立ちながらしぶとくも生き抜いて成長します。
ラスト間際では、手際よく野兎を捕まえかつ捌き、魚を罠に捕らえ、住居をテキパキとこしらえるのには少し笑えました。
本作はサトルの成長譚ともいえる作品と思います。

なお、ラストは色々完結せずにぷっつり終わります。
そのためスッキリしないところがあるのですが、掲題のサバイバルという意味では、明らかにその能力値MAXになったので、終わるべきタイミングだったのかもしれないと思いました。
ちなみに、掲載誌の記念企画で本作の続編が"サバイバル 2000"というタイトルで2話だけ描かれたそうです。
書籍収録されていないらしいのですが、今後読む機会をもつことはできるのだろうか。

※このレビューがネタバレしてると思ったら...?

サンキュー

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