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中学3年生の「相浦基一」は、父から先祖代々に伝わる...

4.5

投稿 : 2021/09/25 16:13

状態 : 読み終わった

中学3年生の「相浦基一」は、父から先祖代々に伝わる刀"烏丸"が父の故郷に残されていることを聞く。
"烏丸"の存在に魅入られた基一は、刀を手に入れるため、父の故郷・谷竹村に向かうが、村に向かうバスで乗り過ごしてしまい、村から遠く離れた道路脇で下車してしまう。
仕方なく歩いて村に向かうが、どこかで道を間違えたらしく、気温は下がり続け、街頭も人通りも無い見知らぬ路上で途方にくれてしまう。
そんな折、偶然通りかかった地元の学生に助けを求める。
学生「澄子」は、彼女の住む近隣の寒村・柤ヶ沢の民宿に基一を連れて帰るのだが、その村は奇妙な風習の残る、封鎖された集落だった。

現代に置いても奇祭や風習は観光資源が主な目的として残っていたりしますが、本作は、漏洩すると都合が悪いことになるため村ぐるみで秘匿している、いわゆる因習に巻き込まれた少年の話です。
土地の神様や悪霊などが超自然的な存在が出てくる話ではなく、そういう村に生まれて育った少女とそこに迷い込んでしまった少年のボーイ・ミーツ・ガール的なストーリーとなります。
ただ、ボーイ・ミーツ・ガールなんていう爽やかなものではないです。
夜這や褌祝が残っている土地なので、性がコミュニティー内でオープンになっており、有り体に言えば作中セックスシーンが非常に多いです。
日本が貞操観念だとかに厳格になったのは、太平洋戦争が転機だったと聞きます。
少なくとも昭和初期までは地方では夜這いが因習として残っていたため、本作のストーリーはとてもリアリティーがあって、民俗学的に見ても面白い話だと思いました。
現代社会に生きる中学3年生の常識が壊されていく恐怖に怯える様子もリアルでした。

ただ、基一くんは村の親切な人々からさんざん「やめろ」、「早く帰りなさい」と言われながらその反対のことをやってしまうんですね。
帰れと言われたからといってほんとに帰っちゃったら、それで話が終わってしまうのですが、それでも基一くんの行動の結果みんな頭を抱えることになるので、その度になんだかあーあという感じになりました。
自業自得なところもあるのですが、ツンデレ澄子にはめられるパターンもあり、足を踏み入れてしまった村のしきたりにあくまで抗うか、それともオチてしまうかというハラハラ感も楽しめる一作だと思います。
ラストもキレイにまとまっていて、全5巻と短いですが、名作です。

※このレビューがネタバレしてると思ったら...?

サンキュー

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