
「奴隷制度」は現代社会では許されない非人道的行為だが、ファンタジーものではこのタブーをテーマにした作品が数多くある。ストーリー上のポイントは、人権のない奴隷にどれだけ寄り添い愛情を注げるかだが、他にも購入に必要な多額な代金をどのようにして都合するかなど現実では体験できない苦労を疑似体験出来るのがフィクションの良いところだ。(※奴隷制度が良いとは一言も言っていません)
一方で、多額な金は用意できないと諦めて、最初から安い奴隷を買ってしまう作品もある。
たとえば『盾の勇者の成り上がり』や『経験値貯蓄でのんびり傷心旅行』では病弱な獣人幼女、『異世界の迷宮都市で治癒魔法使いやってます』では部位欠損で盲目のダークエルフ幼女と、訳ありの奴隷を購入する話がある。
いずれの作品においても、主人公の献身的な世話によって彼女らは健康体になり、主人公との絆を深めていくのがお約束であるが、このテンプレを前提に本作品のレビューを行う。
本作品の主人公は、以前娼婦に本気で入れ込んで身請けしようとしたところ、あんたみたいなブサイクはキモいと断られたことがトラウマになって女性恐怖症になっている中年のおっさん。彼が性欲発散のためだけに安い奴隷を買い求めるところから始まる。
で、その安い奴隷というのが、戦争捕虜で過酷な労働の末に精神に異常をきたした結果、会話が出来ず糞尿垂れ流す要介護状態の狐耳少女って今までになくキツイ。テンプレ通り彼女の世話をするおっさんだが、タイトルにあるような小心者というよりは「卑屈なヤツ」だったため、心を開いていく彼女の気持ちを理解できず、いつまでもモノ扱いするという最低な展開になる。
更にこのおっさんは、若い連中を酒に誘って延々と説教を垂れるとか、嫌われ中年の代表みたいな行動を日常的にしており尊敬できるところがない。
テンプレに従えばいずれ彼が改心してハッピーエンドになるはずだが、今のところどうなるかは不明である。
漫画として評価すると、回想シーンを含めてインパクトの大きいイベントを優先して展開しているため、物語が時系列に並んでおらずスムーズに読み進めない点がイマイチ。
サンキュー
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