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女性マンガ家《もんでんあきこ》氏が描いた熱血教師マ...

4.5

投稿 : 2016/09/10 16:24

状態 : 読み終わった

女性マンガ家《もんでんあきこ》氏が描いた熱血教師マンガ『アイスエイジ』+「Ⅱ」全13巻を御存じですか?

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舞台は公立高校、一時期良くあった《入学者数の減少を喰い止める為の民間の指導者を採用》と言う取り組みで(最近はどうなったのでしょう?)、民間企業の営業管理職だった人物を校長に採用し、その校長の下で着実に進学校として、立ち直り?つつ有る高校。
しかし、肝心の校長は自身が取り入れた効率優先の、成績と評価主義がいわゆる学校の活気を、失わせていると思うようになっています。成績は、教師が生徒評価するモノですが、教師もアンケートにより生徒に評価されます(これは最近採用するところがありますネ)。
最終的には校長が判断するのですが、場合によっては低評価の教師は、教科担当から外されます。教師は、受け持ちの生徒の成績と、その生徒達による自分の評価の、両方を上げなくてはなりません。

そんな中で、校長が連れて来たのは、様々な戦場を撮影しレポートして来た、若き戦場カメラマン。
自分が作り上げ一定の効果と、外部からも評価された制度に、何かの疑問を感じた校長が〈生きた英語を教える専任講師〉として、珍しく教員免許を持つ彼を思いきって、採用したのです。
この採用にも、校長なりの根拠があり、その物語は後に語られます。そして、ここでこの物語のタイトルの2重の意味が、明らかにされます。
〈アイスエイジ〉とは、もちろんデズニーのCG映画から、とった訳ではありません。主人公の名前、不破(フワ)エイジ。生と死の狭間でしかない場所から帰還した彼には、日本の高校生の覇気の無い目付きに、違和感を覚えます。

主人公の名前と、その名前の通りに生と死の狭間で、それでも必死に今を生きる人々を見る為の、ある種の冷え切った心。
それに対する、現代日本の高校生という年代の、これも冷え切った人間としての在り方の問題。この二つの価値観?が衝突した時、初めて生じる熱き魂の、哀しい慟哭……。
かくして、タイトルとは真逆の《熱血教師物語り!》が、始まります。

全10巻の中で、たぶん一番重いのは主人公・不破エイジ自身の、内面の問題でしょう。
しかし少なくとも前半は、評価や成績によって縛られた、生徒と教師達。その硬直し、冷え切った関係を、まるで熱く熱く、溶鉱炉で熱せられた鉄の鎚(つち)が、巨大なアイス・ロック(氷山)に振り下ろされる様に、不可能に思える冷え凍えた人間関係を、その熱と力で打ち砕いて行きます。
自身もまた、熱すぎる炎の熱と冷え固まった氷の破片を浴びて、まるでその裸の全身から飛び散る氷の欠片が、溶けて蒸発し白い煙となって噴き上げる中で、何度も何度も繰り返します。灼熱の炎で、鉄の鎚を真っ赤に焼き、目前の巨大なロックアイスに振り下ろす行為を……。

とても10+3巻の内容を説明できるはずも無いし、しようとも思いませんが、紹介したい物語が1つ。
第2巻から始まる「CLASS・12」は、中心がエイジのこの学校の教師としての資質を試そうと、丁度始まる2年生の修学旅行。ちなみにエイジは取り敢えず、2年の英語担当の非常勤講師です。副担任として預けられたクラスの担任が、母子家庭という事情もあり、同行できないと言う事でエイジが担任代行として、引率する事になります。
これを、無事に引率し終えれば、それまで様々な問題を起こして来たエイジの、この学校の教師としての資質を認め、それまでの問題を不問に付そうという、提案が含まれていました。本来で有れば、それまでにもエアガンだと思った女生徒に向けられた銃が、本物の実働銃と見破り(ベレッタF92・現米軍正式採用拳銃)、素速く銃口からの射線上から逸れて女子生徒から取り上げ、その状況を撮影しようとしたビデオカメラを狙い撃ちにしました。

詳細・拙ブログ記事
→URL:http://aonow.blog.fc2.com/blog-entry-474.html


サンキュー

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