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マフィアの娘「アイリーン」は父にボーイフレンドを殺...

3.0

投稿 : 2018/11/03 22:07

状態 : 読み終わった

マフィアの娘「アイリーン」は父にボーイフレンドを殺してやると言われ、顔のバレていない恋人の代わりに若い浮浪者を身代わりに立てることを思いつく。
声をかけた男とカフェに入るが、彼は浮浪者ではなく、一年前にここで出会う約束をしていた女性と会うために待っていたという。
その相手が自分のおばだと気づいたアイリーンは、その男「イアン」にその女性は死んでしまったことを伝える。
イアンはひどく落胆する。
アイリーンは家に電話をするためにイアンと離れるが、その電話で、実はその相手の女性は存命中の自分の母であることを知る。
イアンに伝えに行くが、イアンは父の刺客によって刃物で刺され、命を落とそうとしていた。
「ジム」という男が現れ、イアンと言葉を交わすと、去ってしまう。
彼はアイリーンに、「俺は奴の事を書く。小説にして本を出す。」とだけ伝えて。

本作は彼、イアンの非常に複雑で数奇な運命を描いたストーリーです。
イアンの不運な最期をプロローグに、その幼少期から、本書一冊で彼の生涯を描いています。
オノ・ナツメらしいシンプルな線の特徴的な画風で、深くイメージを刻みつけられるような、切ない物語でした。

どこをめくっても救いのない話になっています。望まれない誕生、最愛の姉との別れ、虐待、児童買春を強いられ、姉を探してニューヨークへ、まるでエドワード・ゴーリーの絵本のような不条理な物語展開がされています。
読んでいてあまり可愛そうな印象を持たないのは、イアンが泣いたり、己の運命を呪ったりせず、超然とした態度を貫いているからだと思いますが、ハッピーエンド好きな私としては本作はあまり好きになれそうにないです。
ストーリーもさながら誤読感も複雑な気持ちにさせてくれる作品だと思いました。

※このレビューがネタバレしてると思ったら...?

サンキュー

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