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近所の町立図書館に「ふたご」の出てくるコミックにつ...

4.5

投稿 : 2020/10/11 22:49

状態 : 読み終わった

近所の町立図書館に「ふたご」の出てくるコミックについての評論本が置いてありますが、この「Blue Moon」はありません。本当に残念に思います。

お話は戸籍が存在しない?双子の青年が日本各地を転々として、最後は自分の家に戻ってきますが、双子の兄英一は海外に行ってしまっておしまいは行方不明になるという話です。その旅路はだいたい短い完結話になっていて、どの話も楽しいドラマになっています。しかしシリーズ後半になると、双子を産んだ精神疾患のある母親との関係の、重く難しい話になって行きます。結局母親は、双子の面倒を見ていた男性と再婚してしまい、双子のことはほとんど顧みず、永遠に少女のままという話です。その母親の精神疾患になる理由のひとつが、当時あまり社会問題になっていなかった、多児出産の多忙さが理由でした。80年代当時に少女漫画でその話題を出した本作は、その点で優れていると思います。

このシリーズは一応「Blue Moon」で全五巻ということになっていますが、その前の「森脇真末味傑作作品集」の中に収録の「ゼネツィオの庭」また、「踊るリッツの夜」に収録の「TIME」から始まったシリーズで、それらも合わせて読むべき作品だと思います。森脇先生は「おんなのこ物語」の方が有名で、ファンも多いのですが、私も年齢を重ねた今は、こちらの「Blue Moon」の方がいろいろとしっくりくるし、何度も読み返す事の多い作品です。それは自分の今の趣味が絵画鑑賞で、本作では双子の父親が画家という職業だったので、そういう画家話がいくつかあるからです。それと家族間の問題を描いているからです。骨格までわかるようなリアルでありながら、瀟洒な感じの漂うタッチで、軽妙な話運びをするのは森脇先生ならではで、他の少女漫画家とはまったく違うところです。しかしその人間観察は、洞察力が深くて驚かされる話が多いです。

これからいくつか森脇先生の作品のレヴューをこのマンガーレでしていきたいと思います。

サンキュー

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