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押切蓮介氏の代表作の一つ。 東京からとある雪国の...

4.5

投稿 : 2021/10/25 22:58

状態 : 読み終わった

押切蓮介氏の代表作の一つ。
東京からとある雪国の村に転向してきた中学生「野咲春花」は、そこでクラス全体から壮絶なイジメに遭う。
家族に心配をかけまいと必死でイジメにあったことを隠し続けていたが、イジメの内容はエスカレートし続け、やがて春花は登校拒否になる。
そんなある日、春花の家が放火され、両親が焼死体となり、最愛の妹が全身黒焦げの状態でなんとか命がある状態で発見される。
自失状態の春花に、イジメっ子たちは自殺を強要するが、それをきっかけに春花の復讐が始まるというストーリーです。

掲載誌は犬木加奈子先生や御茶漬海苔先生が執筆していた『ホラーM』。
『サスペリア』や、『ハロウィン』などと並び、90年代のホラー漫画ブームの立役者だった雑誌ですね。
ホラー誌に掲載されていた通り、本作もがっつりホラー漫画で、復讐に憑かれた春花が、イジメっ子たちを次々惨殺する展開となります。
押切蓮介でホラーなので、妖怪をぶん殴って泣かせるような作品かと思いきや、本作中"妖怪"や"おばけ"は登場せず、集団の悪意、エゴの押しつけなどの人間の怖さがメインです。
ギャグテイストは皆無で、『ドヒー! おばけが僕をペンペン殴る!』をイメージしてページを捲ると絶句すると思います。
ホラー漫画が苦手な方は注意ですね。

イジメられた上、家族を焼き殺されるだけの理由はというと"特に無く"、また、それに関与したメンバーも全員が全員根っからの悪人とは限らないのがまた、救いがなく、後味が悪いです。
ラストも後味の悪さだけが残り、喪失感と悲しみが漂います。
なぜこんなことが起きてしまったのか、という思いは作中の誰もが思い、また同時に、その原因は自分なのではないかとも誰もが思うのであろうところもまた、後味の悪さに拍車をかけます。
心苦しい気持ちにさせられる作品ですが、読み手の感情を揺さぶられる傑作だと思います。

完全版が上下巻の全2巻で、それほど長い作品でもないですが、心にずっしりと残る作品です。
手に取る機会があれば、おすすめします。

サンキュー

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