ストーリー・アイデアが良くできている意外と面白い異世界転移モノ。
世の中にはゲームの世界に入り込む異世界転移/転生モノは数多くあるが、本作品ほどゲームの特徴を捉えているものはないと感じた。

主人公が異世界転移時に手にしたのはファミコンのコントローラみたいなアイテム。このコントローラの[PAUSE]ボタンを押すことで「時間停止」ができるってガキの願望みたいだが、たしかにゲーム世界に転移したのだったらステータスを眼の前に表示するだけじゃなくってメタ的にポーズ掛けられてもおかしくない設定だと思った。

で、本作品の主人公(男子高校生)もご多分に漏れず時間を止めてはスカートめくり、パンツ下ろし、おっぱい触りとやり放題で馬鹿だなぁ…と呆れたが、次に注目すべきは主人公の視界に浮かんでいるカウントダウンされている時間表示。本作品に出てくる異世界というのはまさに往年のゲームそのもので、カウントが0になるまでにステージクリアしないとダメらしいという設定になっている。ちなみに無事に条件をクリアできた場合、昼夜関係なく花火が打ち上がる演出があるのも如何にもゲームの世界という感じだ。

但し、タイムリミットまでにノルマ達成できなかった場合どうなるかは不明で(=残機0で死ぬかもしれないので試せない)、そもそも「ステージクリアの条件」が何か分からないという手探り状態でゲームを進めていく。
ちなみに主人公はこのように精神が不安定な時には[PAUSE]ボタンを押してから周りの女性陣はすっぽんぽんにして心を落ち着かせるのが、セクハラを超えて立派なアンガーマネジメントとなっていて感心する。というか作中でもそんなことばかりやっている自分に対して「話が全然 前に進まないぞ… 脱がしすぎて」と反省しているのが笑える。そう思ったらとっとと進めろって。

なお作中では過去名作のパロディがさり気なく散りばめられているのが面白かった。特に『カリオストロの城』に関して色々と描かれているのが個人的に気に入った。