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週刊少年マガジンの第2次黄金期に連載されていた麻雀...

4.0

投稿 : 2024/08/12 23:43

状態 : 読み終わった

週刊少年マガジンの第2次黄金期に連載されていた麻雀マンガ。
同時期には赤松健の「ラブひな」や、藤沢とおるの「GTO」などが掲載されていました。
マガジン最盛期の一翼を担っていた作品で、少年誌掲載のギャンブル漫画でありながら8年という長期連載の末、終了しました。

時は終戦間近、軍需工場で労働をしていた15歳の阿佐田哲也は、その合間に同僚のおっちゃんにギャンブルを教わっていた。
そんなある日、工場一帯が空襲にやられ、一面焼け野原になるも、逃げずに寝転がっていたおっちゃんの周囲だけ焼かれず残っていた。
「運の悪いやつから死ぬ」という言葉に感化された哲也は、終戦後の日本で、勝負師としての才能を開花させてゆきます。

一応原作があり、主人公の阿佐田哲也は実在の人物です。
麻雀界隈では常識的に語られる人物で、戦後麻雀という遊戯を今日まで一般に浸透させた功労者として「雀聖」の名で語られています。
著書の『麻雀放浪記』は角川で映画化されてブームになり、燕返しなどの技は雀牌を触ったことがある方なら誰しもが練習しています。
本作も、阿佐田哲也・著作の『麻雀放浪記』や『ドサ健ばくち地獄』などが参考となっており、一部、キャラクターや設定が踏襲されています。

ただ、原作から拾っているのは最初の部分と終盤、ドサ健の設定、哲也が病に冒されたあたりくらいです。
ストーリーマンガですが、本作の魅力はやはり麻雀描写だと思います。
それもまじめに打つことは少なく、ほとんどの対戦はなんでもありのイカサマ勝負となっています。
積み込み、サイン、エレベータは当たり前で、奇術師もびっくりのイカサマ技術を繰り出す雀士たちを相手に、哲也とそのおヒキのダンチがからくりを見破り、敵を撃破する内容となっています。
相手の個性が強く、新品の竹の牌の背を瞬時に記憶してガン牌してくるキャラ、わざと遅く理牌してその時間で相手に待ちを伝えるキャラ、配牌を組み替えるため腹に大量の予備牌を抱え込んでいるキャラなど、あの手この手で勝ちを狙ってきます。
また、相手の手をすべて分析しつくして勝負に挑むキャラ、数学的な確率論で次の牌がわかるキャラなど、一見まじめに挑んでくることもあるのですが、正直なところ、その能力はギャンブル以外にもっと使い所があるのではないか思わないでもないです(ただ、この技を使ってくるキャラは両方定職に就いています)。
趣向を凝らしてイカサマを仕込んでくるのですが、だいたい最終的には、哲也のとんでもない強運で勝利するパターンも多く、「なんだかんだで麻雀って運ゲーだよね」と思わなくもないですね。

ワンパターンなところもあるのですが、近藤とコンビを組み、米兵を倒す立志編、房州の弟子入り、印南との対決、銭亀との因縁、新宿からの旅立ち、ドサ健の登場などなど、場面は移り変わりストーリーマンガとしてもおもしろいと思います。
玄人たちも個性的通り越して変態率が高いです。
麻雀を打ちながら顔をブンブン振ってピアノを叩く真似をしたり、卵丸呑みにして「うめえ」とか言いながら打つやつとかマネをすると周囲への威嚇になりそうですが、それで強かろうが弱かろうが普通に追い出されそうです。

※このレビューがネタバレしてると思ったら...?

サンキュー

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