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短編にこそ作家の技量が表れる、らしい。 この『放...

4.0

投稿 : 2018/01/18 01:11

状態 : 読み終わった

短編にこそ作家の技量が表れる、らしい。
この『放浪世界』を読めば、なるほどそうかも、と首肯したくなるはず。
『惑星のさみだれ』『戦国妖狐』『スピリットサークル』のストーリーテラー・水上悟志が贈る、ファンにもご新規さんにも全力レコメンドな短編集。

収録作は、
・双子少女のほのぼの成長譚
・かわいい系SF(すこしふしぎ)
・中二おっさんの庶民的英雄譚
・グルメもの(ただし食材は妖怪)
 の短編4つに、
・超弩級スペースロボ(+α)SF
 の中編1つ。

短編は妖怪・中二バトル・成長ものと、この作者のエッセンスが詰まりつつ、いつもの脱力したギャグや間の取り方で、のほほんと楽しめます。
こういう空気感のマンガを描くんだ、という水上さん入門には好適。
個人的には、キャラのその後(とラブコメの波動)を想像したくなる、双子ちゃんの話がお気に入り。

ただ、この本の神髄は、最後のSF『虚無を行く』。
巨大ロボと巨大怪獣の威圧感、人生の使い道への哲学的な問いかけ、広大な宇宙を漂う虚無感と、明日への希望、ついでに眼鏡っこお姉ちゃんヒロイン。
目を離せないスピード感はまさに短編ながら、めくるめく風呂敷の広げ方と畳み方、読後の余韻とこみ上げる熱さは、重厚な長編SFのそれ。
わずか70ページ強にこの物語を収納してしまう剛腕に圧倒されました。
絵はぶっちゃけ下手なんだけど、この人はマンガが超絶上手いと思う。
あと、大ゴマの使い方が魅力的なので、興味持たれた方はぜひ紙媒体で。

同じ作者の短編集『ぴよぴよ』も超オススメです。

※このレビューがネタバレしてると思ったら...?

サンキュー

3

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