原作が原作なだけあって、かなり本格的なミステリー作品です。
ただ、キャラクターが立っている分、思い通りにいかない時のストレスは相当なものでした。見ていて胸糞悪い展開が続いたり、正直それってどうなの？という行動を主人公サイドが平気で取るので、後半特に失速したかなという印象です。
絵だと、ぼかす事が出来ないので辛い部分もあったのでしょう。

それでも、魅力的なキャラクターが多数登場する点、性的マイノリティの精神的葛藤を赤裸々に描いている点、なんだかんだハッピーエンドで終わっている点（重要）等を考慮すれば、素晴らしい作品だと言えるでしょう。

こういうテーマの作品って、バットエンドが多いんですよね。「私達2人だけは、分かっている…」なんて洒落た感じで、結局は主人公達の中でのみ完結する、みたいな。
そういう終わり方は正直見飽きたので、ちゃんと幸せになってくれて良かったです。
…まぁ、積上げて積上げて、最後に…っていうパターンもそれはそれで見たかったですけどね。
面白かったです。

ただ、よくよく留意しなくてはいけないのは、枷や秘密を共有しなければ成立しない友情や恋愛など、幼稚なものこの上ないという事。要は依存です。
そういった事を呑み込んで、自分で処理して生きていくのが大人な訳です。小さな嘘は沢山付きますし、付かれてます。そして相手も自分も嘘なのはわかってます。でも我慢できるんです。何故なら相手の気持ちを察する事が出来るから。
結局主人公達は、子供のままなんですよね。アイデンティティが育まれなかったからでしょう。
ですから、これを見て真実の愛だの真の友情だの考えるのは辞めておきましょう。

ミステリー好きな方、特殊な性癖のある方、短く完成度の高い作品をお探しの方にオススメです。