
誰かが言った・・・全身の肉が舌の上でとろける霜降り状態の獣がいる、と・・・!!
人々は魅せられる、数多の食に・・・世は、グルメ時代・・・!未知なる味を求めて、探求する時代!!!
2000年代後半の週刊少年ジャンプを代表する作品で、アニメスペシャルではドラゴンボール、ワンピースと並んだこともあります。
作者の島袋光年氏は、『世紀末リーダー伝たけし』連載半ばで"やらかし"があったため打ち切り終了となりましたが、本作は見事に起死回生の一作となりました。
美食を題材にした内容ですが、いわゆる料理漫画ではなく、世界中に散らばる秘宝とも言うべき食材たちを求めて、美食屋・トリコと、料理人・小松が旅するストーリーです。
未開の味の探求のため、巨大ワニ『ガララワニ』を捕らえるために小松がトリコを雇ったところでストーリーが始まります。
ちなみに、ガララワニの推定捕獲レベルは5、捕獲レベル1で、プロのハンター10人がかりで捕獲できるレベルであることを考えると、捕獲レベル5の猛獣を捕まえて食べることなど到底不可能に思える。
だが、トリコと小松は、そんなガララワニに中でも特に長寿で巨大なガララワニ(推定捕獲レベル8)に遭遇、これを捕獲することに成功する。
この出会いを皮切りに、世界中のすごい食材を捕まえに行きます。
登場する食材は架空のもので、毒の位置が個体によって異なり無毒化が非常に難しいフグや、ビルほどの高さがあるとうもろこし、巨大なマンモスの体内のほんの一部である輝く肉などが登場します。
その中で、トリコを含むグルメ四天王の存在、国際グルメ機関と対立する美食會とのいざこざなどがあり、食材を巡って巨大な争いが勃発してゆきます。
グルメを題材としたバトル漫画であり、捕獲レベルも数十から100を超え、どんどんインフレしてゆきます。
トリコ、ココ、サニー、ゼブラら、グルメ四天王の技も強力になってゆく一方で、小松の料理技術も卓越になってゆきます。
途中まではそんな王道バトル漫画な雰囲気だったのですが、後半でトリコたちは"グルメ界"に突入します。
伝説の美食屋・アカシアのフルコースを揃えるのが目的ですが、以降はキャラも多く、かなり展開がごちゃごちゃしてきます。
とにかく熱く、シリアスな展開が続くのですが、食材が巨大化し、話が地球規模になります。
時間の流れが異なる空間や、「魂の世界」と呼ばれる別空間が現れたあたりでついてこれなくなったというのが正直なところですね。
序盤から張っていた伏線の回収が行われた結果ではあるのですが、個人的には中盤までの、不可思議な食材を追い回していたあたりが良かったです。
小松の成長も本作のポイントの一つで、幻のスープ・センチュリースープを完成させ、調理が非常に困難な薬膳餅の簡単な調理法を編み出して大勢の人の命を救います。
なお、小松は鼻の穴の大きな小男なのですが、彼がある意味で天然ジゴロで、トリコたち四天王全員からモテる描写があって、ぶっちゃけたところなろう系っぽいです。
ただ、女性キャラが極端に少なく、いたとしても節乃や千代などのおばあちゃんキャラの印象が強いです。
小松とくっつきそうな女性料理人・ののも終盤登場したのですが、結局ラストまで小松はトリコとコンビなので、小松は女性からモテる描写の無い(野郎からはある)なろう系主人公ですね。
基本はやはり今どき珍しいほどの王道バトル漫画でした。
43巻と長期連載ですが、少年漫画らしい少年漫画を読みたい方におすすめします。
サンキュー
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